万博スタッフの制服は「デザイン」でできていた|The Lab.「万博スタッフユニフォーム展」で見たユニフォームの色と形

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この記事にはアフィリエイトリンク(PR)が含まれます。リンク先の価格や在庫は変動しますので、購入前に各販売ページで最新情報をご確認ください。なお、この記事で紹介するユニフォーム展はすでに終了しています。本文中の展示に関する事実は主催者・出展者の公式発表にもとづいて書きましたが、デザインの読み解きには筆者の解釈も含まれます。その部分は「思います」という書き方で区別しています。

  1. はじめに:結論――万博の制服は「誰が何をする人か」を見せるデザインだった
  2. 展示の基本情報:「アフター万博 みらい創造展」の中の4日間
  3. 会場のThe Lab.:ガラスの「研究所」に入る
  4. ユニフォームを「デザイン」として見る3つの視点
    1. 視点1:色は「役割の名札」
    2. 視点2:形は「仕事の動き」
    3. 視点3:モチーフは「世界観の共有」
  5. 7つのユニフォームを読み解く
    1. 1. 会場サービスアテンダント:白ベスト×赤インナー、胸にミャクミャク
    2. 2. 協会職員の正装:白ジャケット×青インナーの「式典の顔」
    3. 3. 運営スタッフ:青×グレーのジャケットと、緑のシャツとサコッシュ
    4. 4. 清掃スタッフ:全身ブルーが語る「清潔」のデザイン
    5. 5. 医療スタッフ:淡グリーンとベージュ、「緊張させない」医療の色
    6. 6. 会場ボランティア:紺ベスト×赤ポーチ、「参加しやすさ」の形
    7. 7. パビリオンと食の制服:銀色の衣装と、HASSHOKUのはっぴ
  6. 制服が万博の世界観を支えた3つの理由
    1. 理由1:制服は、広い会場の「地図」だった
    2. 理由2:制服が「役割の見分け方」を世界共通にした
    3. 理由3:全員が同じ世界観を「着た」
  7. 「会場で見る制服」と「展示で見る制服」の違い
  8. 素材の話:ユニフォームに使われた「ヨシ」
  9. The Lab.は今も行ける:アフター万博の歩き方
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はじめに:結論――万博の制服は「誰が何をする人か」を見せるデザインだった

大阪・関西万博の会場で働くスタッフの制服は、単なる「おそろいの作業着」ではありませんでした。グランフロント大阪のナレッジキャピタル「The Lab.」で開かれた展示「あの日の万博をもう一度 ― 万博スタッフユニフォーム展 ―」で、職種ごとのユニフォームを並べて見て、はっきり分かったことがあります。結論:万博のユニフォームは、役割ごとに色と形を変えた「動くサイン(案内表示)」であり、万博の世界観はパビリオンの建築だけでなく、スタッフが着る制服のデザインによっても支えられていた。会場サービスアテンダントの白と赤、正装の白と青、運営スタッフの青とグレー、清掃スタッフの全身ブルー、医療スタッフの淡いグリーン、ボランティアの紺と赤、そして飲食店のエプロンとはっぴ。並べてみると、それぞれの色と形には「この人は何をする人なのか」「どんな場面で頼っていいのか」が一目で伝わるように設計されていることが分かります。

展示の基本情報:「アフター万博 みらい創造展」の中の4日間

このユニフォーム展は、関西みらい銀行が主催した企画展「アフター万博 みらい創造展~未来を創る企業の挑戦~」の中で、公益社団法人2025年日本博覧会協会が出展したブース展示です。

  • 展示名:あの日の万博をもう一度 ― 万博スタッフユニフォーム展 ―
  • 出展:公益社団法人2025年日本博覧会協会
  • 会場:グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル2階「The Lab.」(アクティブスタジオ)
  • ユニフォーム展の開催期間:2026年2月8日(日)~2月11日(水)の4日間
  • 親展示「アフター万博 みらい創造展」の会期:2026年2月3日(火)~3月18日(水)10:00~21:00、入場無料

なお、展示されていたユニフォームの総点数は、公式発表では確認できませんでした。この記事で紹介するのは、現地で撮影できた7つのグループです。

会場のThe Lab.:ガラスの「研究所」に入る

会場の「The Lab.(ザ・ラボ)」は、ナレッジキャピタルの中核スペースで、正式には「The Lab. みんなで世界一研究所」と呼ばれます。入口はガラスのファサードで、丸と四角のネオンのようなモチーフが光り、中には白い造形物が見えます。

The Lab.のガラスファサード

展示スペースのカウンターには、ミャクミャクのぬいぐるみやミニフィギュア、関西みらい銀行の猫のマスコットぬいぐるみなどが置かれていました。

The Lab.のカウンター

ユニフォームを「デザイン」として見る3つの視点

視点1:色は「役割の名札」

制服の色は、装飾であると同時に情報です。来場者は、制服の色を見て「この人に道を聞いていいのか」「この人は医療の人か」を一瞬で判断します。

視点2:形は「仕事の動き」

ベスト、ジャケット、エプロン、はっぴ。形の違いは、そのまま仕事の違いです。

視点3:モチーフは「世界観の共有」

刺繍や小物に入ったキャラクターやロゴのモチーフは、スタッフを「万博という世界の住人」に見せる装置です。

7つのユニフォームを読み解く

1. 会場サービスアテンダント:白ベスト×赤インナー、胸にミャクミャク

構成は、白いベストに赤いインナー、帽子、そして白いスニーカー。ベストにはミャクミャクの刺繍が入っています。デザインのポイントは、白と赤のコントラストです。白は清潔感と「公式の案内役」としての信頼感を与え、赤は人混みの中でも目を引く色です。足元が白スニーカーなのも実務的です。

会場サービスアテンダントのユニフォーム

2. 協会職員の正装:白ジャケット×青インナーの「式典の顔」

白いジャケットに青いインナー、グレーのパンツ、そしてつばの広い帽子、という組み合わせ。アテンダントのユニフォームと比べると、こちらはずっとフォーマルです。同じ「白」でも、アテンダントのベストの白が「親しみやすさ」だとすれば、正装のジャケットの白は「きちんと感」です。

協会職員の正装

3. 運営スタッフ:青×グレーのジャケットと、緑のシャツとサコッシュ

青とグレーの切り替えのジャケットに、緑のシャツを合わせ、肩には「Expo 2025 Osaka, Kansai」と入ったサコッシュ、頭にはキャップ、というスタイルです。このユニフォームの主役は、実はジャケットではなくサコッシュだと思います。色も対照的です。アテンダントの赤が「来場者に向けて目立つ色」だとすれば、運営の青とグレーは「現場に溶け込みながら、スタッフ同士では見分けがつく色」です。

運営スタッフのユニフォーム

4. 清掃スタッフ:全身ブルーが語る「清潔」のデザイン

全身ブルーの作業着とキャップで統一されています。清掃の仕事は、目立たないことが美徳とされる仕事です。けれど、このユニフォームは「清潔」というイメージを色で伝えるためにブルーで統一されているのだと思います。もう1つ大事なのは、清掃スタッフにも「制服」として設計された服が用意されている、という点です。

清掃スタッフのユニフォーム

5. 医療スタッフ:淡グリーンとベージュ、「緊張させない」医療の色

医療スタッフは展示では2体並んでいました。1つは淡いグリーンのカーディガン式、もう1つはベージュのコート式のユニフォームです。注目したいのは、どちらも「真っ白」ではないことです。淡グリーンやベージュは、緊張をほぐす色です。カーディガン式という形もポイントです。背景には会場風景のプロジェクションが映し出されていました。

医療スタッフのユニフォーム2体

6. 会場ボランティア:紺ベスト×赤ポーチ、「参加しやすさ」の形

紺色のベストに、赤いポーチを合わせたスタイルです。ベストは、私服の上から羽織るだけで「ボランティア」になれる形です。配色は紺に赤の差し色。紺はスタッフ系のユニフォームと色の家族が同じで「運営の一員」であることが伝わり、赤いポーチが「困ったら声をかけて」という目印になります。

会場ボランティアのユニフォーム(左)と銀色の衣装(右)

7. パビリオンと食の制服:銀色の衣装と、HASSHOKUのはっぴ

1つは、大阪ヘルスケアパビリオンで使われたとされる銀色の幾何学的な衣装です。金属的な銀色と、直線的で幾何学的なフォルムは、「制服」というより「衣装」として設計されたことが一目で分かります。なお、この衣装の正式な名称やデザイナーについては、今回の取材では公式な裏付けが取れなかったため、この記事では断定しません。

大阪ヘルスケアパビリオンの銀色の衣装(右)と会場ボランティアのユニフォーム(左)

もう1つは、発酵食堂「HASSHOKU」の制服2種。黒いエプロンのスタイルと、水色の波柄のはっぴスタイルです。同じ「食」の現場でも、エプロンの実務性とはっぴの演出性を2種類用意しているのが面白いところです。

発酵食堂HASSHOKUの制服2体

制服が万博の世界観を支えた3つの理由

理由1:制服は、広い会場の「地図」だった

「赤と白の人は案内」「青い人は清掃」「淡い色の人は医療」という色の体系は、それ自体が会場の案内システムでした。制服は、着るサインであり、動く地図だったのだと思います。

理由2:制服が「役割の見分け方」を世界共通にした

言葉が通じなくても、色と形は伝わります。制服の色分けは、多言語対応のひとつのかたちでもあったはずです。

理由3:全員が同じ世界観を「着た」

ミャクミャクの刺繍、博覧会名の入ったサコッシュ、はっぴの波柄。パビリオンが「見る世界」なら、制服は「着る世界」です。

「会場で見る制服」と「展示で見る制服」の違い

万博会場では、制服はいつも動いていました。それが展示になると、ユニフォームはマネキンに着せられ、静止して、隣同士で並びます。すると初めて、「アテンダントの赤」と「ボランティアの赤の差し色」が呼応していることが見えてきます。制服の展示は、ファッションの展示であると同時に、万博という巨大なイベントの「運営の設計図」を垣間見る展示でもあります。

素材の話:ユニフォームに使われた「ヨシ」

ユニフォーム関連の素材を手がけた株式会社TAMAYURAの出展(2026年3月8日~13日、「万博レガシーと地域の魅力展」)では、万博ユニフォームの一部に、滋賀県の湖岸に広がるヨシ群落のヨシ素材が使われていたことが紹介されていました。ヨシは水質浄化や生態系の保全に関わる植物で、その活用自体が環境への取り組みです。この展示では使用済み制服のリサイクルに関するワークショップも行われていました。

The Lab.は今も行ける:アフター万博の歩き方

ユニフォーム展自体は終了していますが、会場のThe Lab.はナレッジキャピタルの常設スペースとして、今も入ることができます。

  • 施設:The Lab. みんなで世界一研究所(ナレッジキャピタル2階・3階)
  • 所在地:大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪 北館
  • 営業時間:10:00~21:00、入場無料(ナレッジキャピタル公式案内より)

アフター万博の展示は各地で入れ替わりながら続いています。次の展示の情報は、各施設の公式サイトで確認してください。

万博の思い出は、パビリオンや大屋根リングの写真の中だけにあるのではありません。案内してくれた人の赤いベスト、掃除をしてくれていた人の青い制服、声をかけてくれたボランティアの紺色。あの夏の風景は、制服を着た人たちの色でもできていました。この展示は、それを静かに思い出させてくれる場所でした。

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参考:2025年日本国際博覧会